コロナウイルスの影響から経済活動が縮小し、かなりの企業・個人の収入が減少してしまっていると思います。
政府もこれを支援すべく補助金・助成金など様々な形で支援できるような制度を設立している状況です。
私も、税理士事務所に勤務しているためコロナウイルス関連の補助金・助成金の相談を受けることが多い立場です。その中でも、現在特に相談が多いのが「持続化給付金」です。
今回は、この「持続化給付金」についての申請方法・入金はどのぐらいの期間かかったか?・どんな事項で不備が出たかなど自分が知っている範囲ですが、まとめていきたいと思います。
Contents
持続化給付金とは?
まず、持続化給付金とは感染症拡大により、営業自粛等により特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧としていただくため、事業全般に広く使える給付金を給付してくれる制度の事です。
給付される金額は、法人・個人(青色申告・白色申告)によって計算が異なりますが、上限は以下の通りです。
法人の場合…上限200万円
個人の場合…上限100万円
給付金額の計算式
・中小法人等の場合
中小法人等の給付金の給付額は、200万円を超えない範囲で対象月の属する事業年度の直前の事業年度の年間事業収入から、対象月の月間事業収入に12を乗じて得た金額を差し引いたものとなります。
これを計算式で表すと以下の通りになります。
・給付額の算定式
S:給付額(上限200万円)
A:対象月の属する事業年度の直前の事業年度の年間事業収入
B:対象月の月間事業収入
S=A-B×12
・個人の場合
個人の場合には、給付金の給付額は、100万円を超えない範囲で、2019年の年間事業収入から、対象月の月間事業収入に12を乗じて得た金額を差し引いたものとなります。
これを計算式で表すと以下の通りになります。
・給付額の算定式
S:給付額(上限100万円)
A:2019年の年間事業収入
B:対象月の月間事業収入
S=A-B×12
また、個人の場合には青色申告と白色申告によって給付額の計算が異なるため注意が必要です。
①青色申告の場合
なお、青色申告を行っている方でも
(1)所得税青色申告決算書を提出していない方
(2)所得税青色申告決算書に月間事業収入の記載がない者
(3)相当の事由により当該書類を提出できない者
は、次項の白色申告の場合と同じ計算で行うことになります。
②白色申告の場合

持続化給付金を申請する時に必要となる書類など
持続化給付金を申請する際に必要となる書類などを紹介していきます。ここでは、あくまで一般的な申請の場合に必要となる書類のみを紹介しております。
申請は、PCやスマートフォンからでも可能です。
申請はこちらのHPで手続きすることができます⇒「持続化給付金HP」
パソコンやスマートフォンの操作が苦手、HPを見ても申請方法が分からないという方向けに申請サポート会場というものがあるので、必要な書類を準備してから、そちらを利用をおすすめします。※「持続化給付金 申請サポート会場」
中小法人等の必要となる書類など
・メールアドレス
・確定申告書別表第一の控え(1枚)※収受日付印が押されているもの
・法人事業概況説明書の控え(2枚(両面))
・対象月の売上台帳等
・通帳の写し
書類イメージ⇩


他には、法人の設立した年月日、業種、資本金の額又は出資の総額、常時使用する従業員数、前事業年度の事業収入を入力するので、スムーズに申請したい場合には事前に確認しておきましょう。
個人事業者の必要となる書類など
・青色申告の場合
・メールアドレス
・確定申告書別表一の控え(1枚)※収受日付印が押されていること。
・所得税青色申告決算書の控え(2枚)※収受日付印が押されていること。
・対象月の売上台帳等
・通帳の写し
・本人確認書の写し
書類イメージ⇩

・白色申告の場合
・メールアドレス
・確定申告書別表一の控え(1枚)※収受日付印が押されていること。
・対象月の売上台帳等
・通帳の写し
・本人確認書の写し
書類イメージ⇩

個人事業者の場合には、開業した日付や前年度の売上高を入力するので、スムーズに申請したい場合には事前に確認しておきましょう。
中小法人等・個人事業者の必要となる書類で収受印がない場合には「受信通知(メール詳細)」が必要となります。
対象月の売上台帳について
中小法人等・個人事業者のどちらも対象月の売上台帳を提出することになります。
こちらの売上台帳については、フォーマットの指定がなくエクセルデータや手書きの売上帳でも構わないことになっています。
顧問されている税理士がいる場合や、自社で使用している会計ソフトなどがあれば、そちらのデータから対象月の収入額(合計額)が分かる書類を提出するのがおすすめです。

売上高計上基準については、経済産業省のHPを見ても詳しい記載が見当たりません。もしかしたら、私が見逃してるだけかもしれませんが…。
一般社団法人全国鍼灸マッサージ協会のHPに「持続化給付金ガイドライン」というものがありましたので紹介しておきます。

そのガイドラインの中にこのようなQ&Aがありました。特に気になったのは、最後の分の2019年の計算方法が同じ算定方法の整合性が望まれるというところです。つまり、前年事業年度あるいは2019年と同じ計算方法を採用する必要があるということです。
例えば、前期は税込経理で売上を計算していたが、今期は税抜き経理で売上高を計算するというのは×となる。他にも、対象月の売上高を50%以下にしたいからといって、現金主義から発生主義に変えるというのも×になる。
この辺りが特に悩む部分となりそうですが、HPにも記載がない場合には以下のお問い合わせ先で確認するのが確実です。
持続化給付金事業 コールセンター
直通番号:0120-115-570(おかけ間違いに御注意ください)
IP電話専用回線:03-6831-0613
受付時間 8:30~19:00 7,8月(毎日) 9月から12月(土曜祝日除く日から金曜日)
持続化給付金の申請期間はいつまで?
持続化給付金の申請期間は令和2年5月1日から令和3年1月15日までとなっています。電子申請の送信完了の締め切りが、令和3年1月15日(金)の24時までとなっているので、申請を考えている方は期間を過ぎないよう忘れずに行うようにしましょう。

令和2年7月22日に更新された持続化給付金の給金推移のグラフになります。
7月20日までに約267万件の中小企業・個人事業者の方に給付されており約3.5兆円の給付額となっています。こちらを見ると、かなりの数の方がコロナウイルスの影響を受けていることが改めて分かります。
申請してから入金はどのぐらいかかるのか?
申請に不備や疑義が無ければ、概ね2週間程で振込が行われるようです。申請が始まった5月頃はテレビなどでも色々騒がれていました。しかし最近では、かなり体制が整った印象で早いところでは、1週間程で入金となったところもあります。
持続化給付金は課税対象
持続化給付金は税務上、益金(個人事業者の場合は、総収入金額)に算入されます。しかし、損金(個人事業者の場合は、必要経費)が多い場合には課税所得は生じないため、結果として税金が出ないような形となります。
計算式で表すとこんな感じです⇒「益金-損金=課税所得」
仮に持続化給付金が入金となり益金が損金より多い場合には、残った課税所得分に税金が課されることとなります。
不備や誤りが多い事例や、不正受給の調査や逮捕者が出た事例
経済産業省HPで紹介されている申請の際の不備や誤りが多い事例になります。
- 昨年や対象月の売上額について、申請内容と証拠書類の記載内容が異なる
- 申請された口座番号や口座名義に誤りがあり、送金ができない 等
また、持続化給付金の不正受給の調査、逮捕者が出たニュースが取り上げれています。
・売上高を意図的にズラしたりして対象月の売上高を50%以下にする
・法人の経営者が、フリーランスとして法人と個人で2重に申請する場合
などが挙げられていました。どの機関が調査を行うのかは分かりませんが、間違いなく調査はあると思われます。
不正受給と判断された場合には以下のような罰則となります。
調査の結果によって不正受給と判断された場合、以下の措置を講じます。
①給付金の全額に、不正受給の日の翌日から返還の日まで、年3%の割合で算定した延滞金を加え、これらの合計額にその2割に相当する額を加えた額の返還請求。
②申請者の法人名等を公表。不正の内容が悪質な場合には刑事告発。
中小企業等であれば、全額の200万円を受給すれば最低でも200万円の2割の40万円が加算され返還することとなります。また、法人の名称も公表されてしまうため業務にも影響が出てしまう可能性が高いです。
まとめ
以上が持続化給付金の申請方法等についてになります。
持続化給付金についての詐欺なども出回っており、手口も巧妙になっているようです。見慣れない書類など悩まれる部分も多くあると思いますが、手続き自体は簡素化されています。
まずはご自身で申請、あるいはPCやスマートフォンの操作ができる身近な方に頼まれてみてはいかがでしょうか?
それでは。